サーフィンチャンプとの邂逅

確か2ヶ月ほど前になるでしょうか。 夏の初めの夜10時ぐらいに、近くの歩道でスケボーによる陸トレをしていました。 

時たま人が通ります。 そんな通行人が通り過ぎるのを待っていると、その人がいきなり声をかけてきました。 しかも英語です。

歩道を指差しながら、なにやらまくしたてています。 何を言っているのか聞き取ろうと、みけんに軽くしわをよせて聞き耳をたてていると、なんだか急にわかりはじめました。

「日本には大きい公園があっても、スケートボードをやる場所がないよね」

と言っています。 AFNを聞き続けて5年以上。 ぼくの英語ヒヤリング能力も、ついにここまできたかぁ。 と思ったら単に日本語をしゃべり始めていただけでした。

「こんなところでやっていても、うまくならないよ」

「いいのいいの 俺、サーフィンやってんだけど、それの練習でカービングさえできればいいんだから」

「おおサーフィン ぼくサーフィンの世界チャンピオンだったよ 14歳のときね」

「えっ! 世界チャンピオン~?」
(世界チャンピオンとはずいぶん大きく出たね この外国人)

彼はMイケルといい、子供ころハワイに住んでいたそうです。 ハワイで行われたサーフィン大会で、14歳のときに優勝、翌年の同大会では、ディフィンディングチャンピオンの驕りからワックスを塗りそこね、ワイプアウトして大怪我をし、長いあいだ入院したそうです。

「22mの波から滑り降りると、時速90キロよ 海面はコンクリートウォールね」

(ほお・・・)

「肌で波を感じなきゃダメ スウェット?なんて着ちゃダメ」

(スウェット? ウェットのこと?)

「うまくなりたかったら、まずウエイクボードよ」

(あんなのから始めるやついるのか・・・?)

「ハワイはみんな貧乏だから、発泡スチロールの板で始めるのよ」

(ん? ウエイクボードはむしろ金持ちのスポーツ もしかして・・・)
「もしかしてウエイクボードって、日本で言うボディボードのこと?」

「そう言うの? そのボディボードで波に乗る感覚を覚えるのよ 日本人はダメ かっこつけてショートボードからやるでしょ」

(ぎくっ!(汗))

歩道の真ん中で話しは続きます。 ニューヨーク大学でヒッキーと友達だったこと。 おじいちゃんの代わりにキャサリン妃に会いに行って赤ちゃんを抱いたこと。 クリス松村にひ・・・ あっ これは内緒って言われたから内緒。 麻生副総理のナチス発言 etc

そろそろ夜もてっぺんになろうとしていたのでお開きに。 別れ際に、名乗り損ねていたので

「俺はSんごっていうんだ じゃあね!」

「See you!」

堅い握手。 不思議な夜の出会いでした。

※この記事は2013年10月にJUGEMブログで公開した記事です。

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